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多忙な院長のための「手放し経営」入門:デジタルに任せられる業務・任せられない業務

前回の記事では、小児歯科や矯正において「親御さんへの教育」を仕組み化することで、絶大な信頼を獲得する方法についてお伝えしました。こうした「情報の標準化」を進める最大の目的は、単なる増収だけではありません。実は、院長先生自身の「自由な時間」を取り戻すことにあります。

「自分が現場にいないと医院が回らない」「毎日夜遅くまでスタッフ教育や説明に追われている」。そんな悩みを抱える院長先生に向けて、今回はデジタルを賢く活用した「手放し経営」への第一歩を整理します。


1. 院長が「本来やるべき仕事」に集中できていますか?

歯科医院の成長において、院長先生の技術やカリスマ性は不可欠です。しかし、医院の規模が大きくなるにつれ、院長が「一人三役」をこなすことには物理的な限界が訪れます。本来、院長先生が等しく注力すべきは、以下の3つの役割です。

  • 【ドクターとしての仕事】ハイパフォーマンスな臨床
    最新の技術を駆使し、患者さんに最高の治療を提供すること。
  • 【リーダーとしての仕事】スタッフの育成とマネジメント
    スタッフが高いモチベーションを持ち、主体的に動ける組織を作ること。
  • 【経営者としての仕事】医院の将来を描く経営戦略
    数年先のビジョンを描き、医院を継続的に成長させるための舵取り。

多くの場合、日々の「定型的な説明」や「繰り返しのスタッフ指導」といった業務に時間が奪われ、最も重要な経営戦略やハイパフォーマンスな臨床が後回しになってしまいます。ランキング上位の医院は、この「誰がやっても同じ結果になる業務」を徹底的にデジタルへ委託することで、院長のリソースをこの3点に集中させています。

2. デジタルに「任せられる業務」と「任せてはいけない業務」

手放し経営を成功させる鍵は、業務の切り分けにあります。すべてをデジタル化するのではなく、役割分担を明確にすることが重要です。

デジタル(動画など)に任せるべき業務

それは「繰り返される定型的な情報伝達」です。
例えば、むし歯のメカニズム、フロスの重要性、自費診療と保険診療の違いなど、どの患者さんにも必ずお伝えする内容は、動画が最も得意とする分野です。これらを動画に任せることで、説明のムラがなくなり、院長やスタッフの時間は1日あたり数時間単位で浮いてきます。

人間が担当し続けるべき業務

逆に、デジタルに任せてはいけないのは「個別の悩みへの共感」や「最終的な意思決定のサポート」です。動画で基礎知識を得た患者さんに対し、「〇〇さんの場合は、ここが一番の不安ですよね」と寄り添うのは人間の役割です。デジタルを導入することで、むしろこうした「人間らしい時間」を濃密に確保できるようになります。

3. 動画は「診療中、常にクオリティを維持するスタッフ」である

スタッフ採用や教育に頭を悩ませている先生にとって、適切な動画ツールは「最高の右腕」になり得ます。

一度導入された啓蒙動画は、診療時間中、常に100点のクオリティで患者さんを教育し続けます。待合室で動画が流れているだけで、患者さんはユニットに座る前に「なぜその治療が必要か」を理解してくれます。

これにより、スタッフの負担も劇的に軽減されます。「説明しても伝わらない」というストレスから解放され、現場の離職率低下にも寄与するという、副次的なメリットも生まれます。デジタル化は、スタッフを守るための戦略でもあるのです。


まとめ

多忙な日常から抜け出し、より質の高い歯科医療を提供するためには、院長先生の「手」を空ける仕組みが必要です。定型的な説明を動画というシステムに委託することは、決して「手抜き」ではありません。むしろ、患者さんとより深く向き合うための「誠実な投資」と言えるでしょう。

では、いざ動画を導入する際、どのような映像が最も患者さんの心を動かし、成約率の向上に寄与するのか?

次回は、「説明しても伝わらない」の正体に迫り、ランキング上位の医院が実践する「視覚的クロージング」のメカニズムを詳しく解説します。

当ブログも間もなく第70記事目の節目を迎えます。これまでの連載で触れてきた「仕組み化」のエッセンスをどう自院に落とし込むか、その一つの区切りとして、全体像を整理してお伝えする準備も進めております。もちろん、その後も歯科経営に役立つ情報を継続してお届けしていきますので、どうぞお付き合いください。